『随想』

 

商学部4年 惠村文朗

 

 

 

 部活を引退し、もう大学を卒業するかと思うと、月日が経つのはあっという間であったと感じる。大学4年間という短い間、ソフトテニス部では本当に多くのことを経験し、学ぶことができた。書きたいことは山ほどあるのだが、ここでは1つの大きな後悔に絞って述べていきたい。

 

 大学入学当初、私が体育会の部活に入るとは思ってもみなかった。当時の主将であった清高先輩に声をかけられ、コートに足を運んだ。他のサークルに入るかどうかで迷っていたが、ひょんなことから春リーグの応援に行くことになった。そこで先輩方のリーグにかける情熱を目の当たりにし、私は入部を決めた。

 

 ソフトテニスの経験は中学時代のみで、高校まで勉強中心の生活を送っていた私は、入部当初まともにボールを打つことができなかった。また、私の行動の遅さもあり、練習や雑用、その他の面で先輩方に非常に迷惑をかけていた。こんな自分にも先輩方は熱心に指導してくださり、申し訳なさと感謝の気持ちが強い。

 

 夏合宿を終え、私は1年生で秋リーグに出場させて頂いた。実際まだリーグに出られるような技術力、精神力もなく、結果は惨敗だった。正直なところ、リーグに出られる喜びよりも、こんな自分が出ても勝てないに違いないという勝手な不安、臆病な気持ちの方が大きかった。試合に出られない人がいる中で、たとえ負けたとしてもチームに貢献できることは多くあるというのに、情けない試合をしていた自分を悔やむ。

 

 その秋リーグでは、2ペア、シングルスが全勝、入れ替え戦に挑むこととなった。その入れ替え戦では、私の代わりに秋入部の同期である瀬口が試合に出場した。当然のことだった。今だから言えることだが、昇格が決まった後のミーティング、同期に変わられた悔しさもあったが、プレッシャーから解放され安心した気持ちの方が強かったように思う。この試合をきっかけに、自分の部活に対する思いが大きく変化したと感じる。個人として試合に勝つよりは、チームが将来的に安定して勝つために、自分よりも試合で貢献できる人や未来ある後輩に試合を託す方が良いと思い始めた。

 

 2年生でもリーグに出場させて頂いたが、結果は惨敗。3、4年生ではレギュラーになることができなかった。当然のことだった。心のどこかで、自分よりふさわしい人がいる、そう思っている自分がいた。私には他人を蹴落として自分が勝つという傲慢さが足りなかったのだ。

 

 何か言い訳を見つけて逃げることは簡単である。ただ、本当の喜びを得るためには、逃げないで自分と真摯に向き合い、努力しなければならない。こと勝負の世界においては特にそうであると感じる。本当に自分がやりたいことは何か、それを実現するために必要なことは何か。私は周りに自分の気持ち、考えを伝えて相談することが極端に少なかった。すぐ近くに多くの手本、そして頼りになるOBOG方、先輩方、同期、後輩がいる中で、こんな簡単なことに気づくのが遅すぎた。周りの人の目には、私は頼りない人間に見えていただろう。こうした姿勢を変えることのできなかったことは私の4年間の後悔であり、後輩の皆にはぜひ反面教師にしてほしい。

 

 ここまで、後悔ばかりを述べてきたが、私はソフトテニス部に入部したことは全く後悔していない。4年間という短い間ではあるが、部活という組織で動いたことで、自分自信を深く見つめ直すことができ、長所や短所を知ることができた。社会に出る前に、人間として大きく成長することができたと感じている。

 

 最後になりますが、4年間の間練習に励み、ソフトテニスの技術だけでなく、人間として大きく成長することができたのは、OBOG、先輩方のご支援ならびに、ご指導の賜物です。誠にありがとうございました。また、時に言い争いもあったが、いつもどこかで支えてくれた同期、頼りない私を慕ってくれた後輩にも本当に感謝しています。これからはOBとして、陰ながらソフトテニス部を支えていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。