随想

 

経済学部4年 瀬口貴久

 

 

 

 引退してから1か月半が経ち、遂に私が随想を書く立場になった。とても感慨深いものだ。長く拙い文章であるが、最後までお付き合いしてくだされば幸いである。

 

 高校時代にソフトテニスはやり切ったと感じていたが、夏に学内コートのフェンスの向こうで活発に練習しているソフトテニス部に憧れ、某テニサーを抜け出して体験にいったのがソフトテニス部との最初の出会いである。

 

 その後すぐに秋リーグがあったが、そこでは伊豆清高ペア、小泉五十嵐ペア、石井(シングルス)(敬称略)の3本が全勝して7部優勝を決めた。とてつもなく強い先輩方、試合中のチームの一体感、惠村の人柄に魅せられ、入部を即決した。そして私は東工大との入れ替え戦に中本さんと組んで出場させて頂いた。結果はファイナル負け。残った大きな悔しさをバネに練習に積極的に参加した。

 

 しかし私は大きな勘違いを犯していた。ある程度コートに行っている自分に満足し、自分の課題から逃げ、ただ漫然と練習していた。このツケは2年の春リーグで回ってきた。まともに相手と打ち合えず、1勝しかできなかった。秋も2勝止まりだった。チームは6部で優勝して入れ替え戦に臨んだが、4番で出場した自分の負けにより5部昇格は絶たれた。応援してくれた全部員、さらにOBの方々への申し訳なさでいっぱいだった。入部してから幹部交代するまでの1年間は、私はあらゆる面で稚拙だった。先輩方、特に主将の伊豆さんには多大なる迷惑をおかけした。申し訳ありませんでした。

 

 主将として活動した2年目は、春リーグまでは非常に充実していた。4年生が引退し、自分が勝たなければ7部に降格するだろうというプレッシャーから初めて自分の課題と向き合い、色々と研究した。この成果は冬オフ明けに顕著に現れた。今まで勝てなかった他校のペアに勝ち、自信を持って春リーグに臨んだ。結果は4勝。多くのOBの方に、強くなったと言って頂けたのはとても嬉しかった。しかし、部全体の実力向上は達成できなかった。公務員試験で休部中の伊豆さんが何とか出場して下さったおかげでギリギリ降格を免れたことがその象徴だ。

 

 秋リーグまでは部全体の実力向上の方により重点を当てた。幹部での話し合いも増え、部全体でも少しずつ成果は表れていたが、秋リーグで結果を残すことはできなかった。個人としても天秤で2回負け、昇格できなかった。春の出来に過信し、甘えがあったのだろう。主将として力不足だった。1年間チームとしてほとんど結果を残せなかったが、こんな不甲斐ない主将についてきてくれた方々には感謝の気持ちでいっぱいである。

 

 就活の合間の時間に懸命に練習したつもりではあったが、4年の春リーグは1年前のようなベストな状態とは程遠かった。チームも怪我人が続出し、苦しい状況だった。そんな状態で戦える程6部は甘くなく、全敗だった。自分も6部の強いペアには手も足も出ず、3勝止まりだった。入れ替え戦では相手の1番手とあたり、終始相手に押されて負けた。チームとしても完敗し、7部降格。悔しさを通り越し、打ちひしがれていた。それでも自分が立ち直れたのは、OBの方々の叱咤激励を受け、幹部を中心に後輩たちが秋での6部昇格へ向けて動き出す姿を見られたからである。

 

就活を終えてからは、練習漬けの充実したテニス生活を送ることができた。特に三商の大阪市立大学戦で5本回しを達成したときはこの上なく嬉しかった。このときは心技体すべてが充実しており、途中からは負ける気がしなかった。ペアを組んだ岡本は1年生ながら夜の部も含めてあっぱれの活躍だった。

 

秋リーグが近づくにつれ、義経コーチや幹部を中心とした部員全員の努力によりチーム力も格段に上がっていった。しかし私は違っていた。私が幹部になって以降、毎回降格圏にいたという事実、自分が負けたらまた降格してしまうのではないかというプレッシャーなど悪いことばかり頭をよぎり、「心」がリーグから逃げていた。リーグが本当に怖かった。リーグが嫌いになっていた。

 

秋リーグの初戦、ツケは早速まわってきた。ファイナルでマッチを握りながら負けた。相手は気持ちを前面に出して泥臭くプレーしたのとは対照的に、自分は気持ちが逃げてしまった。3戦目の群馬大戦では私は負けたが、後輩が取り返して3勝2敗で勝利した。その瞬間、後輩を心から信頼できなかった自分、リーグから逃げていた自分に対する恥ずかしさに襲われた。4戦目の前、リーグ優勝の可能性もあったことから、オーダーを変えて自分があまり強くないところと当たって確実に勝ちを狙うという、自分の入部以来毎回行われていた恒例行事が提案された。今までなら確実に乗っていたが、今回は固辞した。試合するごとに成長する後輩をみて、初めて後輩が勝てると信じることができたし、何よりリーグは5本全員の力を合わせて勝ちにいくのがあるべき姿で、チーム内の戦力差がほとんどない中、上3本で勝ちにいくというのは今後のソフトテニス部にとって何のためにもならないと思ったからである。4戦目、5戦目ともにチームとしては負けたが、全ペアが成長を見せ、春リーグとは違い中身の濃い試合ばかりであった。最後の横国大戦で岡村が勝った時なんかは涙が出そうなほど嬉しかった。一方私は結局2勝しかできなかった。負けた試合はすべてファイナルであり、技術面は大差なかったのかもしれないが、「心」の部分で大きな差があったからこうなってしまったのだと感じている。しかし、後輩の成長がみられて、最も楽しいリーグでもあった。次の春では必ず6部昇格できると信じている。

 

これを読む後輩たちには、「心」「技」「体」すべてが充実した選手を目指し、自分の課題と向き合ってひたすら練習に打ち込んでほしい。精神面の充実、技術への絶対の自信、身体の健康や体力のすべてが兼ね備えわれば、多くの試合で勝てるだろう。

 

ここまで色々書いてきたが、何より同期のみんなには感謝している。様々な面で助けられた。また個性的で、尊敬できる人ばかりだった。ここには書ききれない。今までありがとう。そしてこれからもよろしく。

 

最後に、自分が現役の頃、毎回リーグにいらっしゃって的確なアドバイスをして下さった関さんや起橋さん、義経コーチをはじめとしてコートで様々な指導をして下さったOBの方々、また普段から物心両面で多大なる支援をして下さったOBOGの皆様、好き勝手にテニスさせてくれた両親には大変感謝しております。本当にありがとうございました。今後は自分もOBとして、ソフトテニス部と球朋会の発展に微力ながら貢献していきたいと思います。(就職先:みずほフィナンシャルグループ)