随想

 

 

 

                              法学部4年 岸田春香

 

 

 

 諸先輩方が書いていらっしゃった随想を、私が書く番になったのだと思うととても感慨深い。四年間は、思っていたよりもずっと短かった。

 

 

 

 一年生の健康診断の時に伊豆先輩と村井先輩に勧誘していただいた時のこと、初めて東二号館裏のコートに体験に行ったときのこと、初めての昇格、大雨の夏合宿、三商での関西への旅、4時起きで松本に向かった日。一年時の春リーグから最後の秋リーグまで、この四年間の思い出はどの場面も鮮明に覚えている。

 

 

 

 一橋大学に合格した時から、ソフトテニス部に入ろうと決めていた。サークルは性格的に合わないと思っていたことに加え、ソフトテニスをやりつくして、嫌いになるために。

 

 高校のソフトテニス部では、私の未熟さが原因でトラブルが頻発し、練習自体成り立っていなかったため、ソフトテニスを楽しむどころの事態ではなかった。三年の春に、逃げるように引退した。ラケットも捨ててしまいたかった。しかし、自分が高校の後輩に言った、「ソフトテニス自体が嫌いになるまでは、どうか辞めないでほしい」という言葉が自分の中で引っかかっていた。いつ、私はソフトテニスが嫌いになったのだろう。好きも嫌いも言えるほど何もソフトテニスのことを知らない。ならいっそ四年間でやりつくして、嫌いって胸を張って言えるようになろう。

 

 

 

 四年間誰にも言っていなかったが、これが私がソフトテニス部を志望した理由だった。

 

 

 

 四年間、一橋大学ソフトテニス部で活動して、私が今胸を張って言えることは、ソフトテニスが好きだ、ということである。これはひとえに、未熟な私を丁寧に指導し、技術・精神両面において成長させてくださった先輩方、いつもそばにいて様々な話や練習を共にし、よき友・ライバルとして支えてくれた同期、部に真剣に向き合い、雰囲気を作ってくれた後輩のおかげである。心から感謝しています。本当にありがとうございました。

 

 

 

 さて、卒業に当たって「随想」という形で後輩に何を残せるのだろう。役に立つかどうかはわからないが、四年間私が考えたことを書いていきたいと思う。

 

 

 

 まず、「自分のことをいつも見ているのは自分しかいない」ということである。

 

リーグで勝つこと、試合でいい結果を残すこと。練習を頑張ること。全てにおいて他人に評価される。ただ、自分のことを「いつも」見ているのは自分だけなのだ。私は三年生の時、幹部という立場や、転学部によって勉強面においても大きな負担を感じており、テニスに対して真剣に向かい合う時間も気力も減っていた。練習は量こそすれ、身は入らずただ時間が過ぎるのを待っている状態だった。しかし、私は自分のそのような状況を見据えることを怠った。「いつもコートにいて練習している。頑張っている」という自分にとって都合の良い他人からの評価に甘えていた。そして、リーグでは結果を残せずに先輩方と7部に行くことはできなかった。なぜ、あんなに練習したのに結果が出なかったのだ、と思っていたが、考えてみれば当然のことである。

 

 自分のことをいつも見ているのは自分だけである。甘え、怠け。そのような状態は誰にでもある。ただ、大切なのは自分をいつもよく見つめることである。もちろん、自分を評価し、褒めることも重要だ。「だめだ、できない、自分なんて」という言葉は何よりも自分を苦しめる。己への過大・過小評価の声を正していき、今の自分に意識をしっかり向けることこそ、リーグでの落ち着きにつながるのだということを、私は四年の秋リーグで初めて理解した。

 

 

 

 そして、周りに気を配り、話をすることの重要性である。

 

 四年生になっても就職のための勉強や、様々なことに忙殺されて自分のことばかりに手一杯になっている状態が続いた。最後のリーグが近づくにつれて、「一昨年、昨年のような後悔はもう、したくない」という焦りと相まって、コートの内外において視野が狭まっていた。後輩へアドバイスをしたり声をかけたり、周りの部員に気を配ることがなかった。後輩に秋リーグ前から辛い思いをさせていたのだということがはっきりした時に、とても後悔した。何度も何度も澤部主将が「9人で戦う」と言っていた意味が、そして瀧根や野田先輩が「チームで」とおっしゃっていた意味が、ようやく分かった。

 

 テニスはチームスポーツだ。コートの中には二人(もしくは一人)しかいなくても、後ろにいる応援は、心強い。試合中の辛い場面、振り返れば身体中で応援してくれている仲間がいて、落ち着けたことが何度あったことか。嬉しい時、楽しそうな応援を見て笑ってしまったことも。それまでのリーグでも「チームスポーツ」を感じていたが、先輩や同期に引っ張ってもらって実現した、という感覚が大きかった。最後のリーグを9人で戦えて、そして8部優勝7部昇格というこれ以上ない結果を手にできて、とても嬉しいとともに、チームで戦うにはあまりにも未熟だった自分が申し訳ないような気持ちであった。

 

 周りの部員に気を配り、声をかけ、積極的にコミュニケーションを取ることで、チームワークができ、よいチームができる。「一橋はチーム力」と女子部の先輩方はおっしゃっていたが、一人一人がそのような意識を持つことが重要なのだと感じた。

 

 

 

 四年間を振り返るには2000字の随想はあまりにも短い。嬉しいことも悲しいことも、たくさんあった。ただ、一つ明確に書き残しておきたいことは、私は一橋大学ソフトテニス部が大好きだ、ということである。8回リーグに出て、5回残留し3回昇格した。一年春から四年秋までの軌跡に、私に関わってくださったすべてのOB/OGの方々、先輩方、同期、後輩に、改めて心から感謝いたします。特に、ずっと私をリーグで起用してくださった松見先輩、野田先輩、瀧根、澤部主将方。最後の年に幹部を一緒にやってくれた和氣、陣野をはじめとする「三世代」の方々。ありがとうございました。

 

 

 

 最後になりましたが、関さんと起橋さんには毎回のリーグに来ていただき、厳しくも温かいお言葉を、たくさんのご支援をいただきました。本当にありがとうございました。

 

 

 

 これからは私も球朋会の一員となり、OGとして現役を応援していく所存です。これからもご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。