随想           商学部 下鍋諒真

大学生活の4年間を振り返ると、私が最も時間を費やしてきたのがソフトテニスであり、一緒に過ごす時間が最も長かったのも部員であったように思う。4年間計7回のリーグ戦で戦績は18敗、部への貢献の少ない私が言うのも自分勝手ではあるが、ソフトテニス部への入部を決めた入学後の自分には感謝したい。というのも、この4年間で自分が想像もしていなかった多くの経験をさせてもらい、わずかながらに成長できたと感じるからである。

 私は中学1年生からソフトテニスを始めたが、大会ではほとんど地区大会1回戦負け、良くても2回戦負けというレベルで、ソフトテニスは好きだったが大学でも続けるなんてことは夢にも思っていなかった。しかし、高校3年生での引退試合で、団体メンバーとしての初めての勝利とチームとしての勝利を挙げることができ、この喜びをまた味わいたいと思い、大学でもソフトテニスを続けたいと思うようになった。

 一橋大学への入学が決まり、春休みにソフトテニス部の体験に行った際、私は中学高校とは比べ物にならないほどのレベルの高さと統率のとれた部の雰囲気に驚いた。弱小校で過ごしてきた自分がこの中に入っていいものか、やっていけるのか不安はあったが、ソフトテニスが上手くなりたい、勝つ喜びを味わいたいという思いが強く入部を決意した。

 だが、2年秋までレギュラーに入ることはできなかった。入部当初抱いていた、レギュラーとなって活躍したい、優勝・昇格に貢献したいといった漠然とした考えはあまりにも甘すぎた。上達するためにとことん自分に向き合い、自分を律し、自分で考え行動するという当たり前のことができていなかった。辛いこと、苦しいことが増えることに対して覚悟を持てなかった。次第に上手くなりたい、勝ちたいという思いは薄れ、ボールを打つ、練習に参加する、反省点とその改善策を考える、といったことをただこなしていくだけの日々を続けてしまっていた。

こんな自分をわずかながらに変えることができた転機となったのが、幹部就任と前衛への転向である。恥ずかしい話ではあるが、自分の意志で、辛さや苦しみに立ち向かう覚悟を持てなかった私は、半ば強引に厳しい環境に身を置くという選択肢を取ることしかできなかった。人数不足の状況であり、転向後最初のリーグ戦に出ることを前提としての転向であったため、かなり無理のある挑戦であったことは間違いない。それにもかかわらず、同期やOBOGの方々を含めた先輩方、後輩たちは自分のした決断を受け入れて、前衛として上達するために一からアドバイスや指導をしていただき、大変ありがたい気持ちを持ったとともに、これになんとしても応えたいという思いも強くなった。そんな中で3年春のリーグ戦を迎え、私は1年生とペアを組んで入れ替え戦を含めて計5試合出場させてもらった。結果は全敗で、昇格がかかった入れ替え戦での天秤戦でも勝つことはできなかった。他のレギュラー4組に負担をかけてしまったこと、自身の圧倒的な実力不足が原因で昇格を逃したことが本当に悔しく、情けなかった。秋リーグは再び1年生とペアを組み、12敗、チームは4位という結果に終わった。団体戦の勝利、優勝・昇格に直結する勝利とはならなかったが、自身の最初にして最後のリーグ戦での勝利を挙げることができた。もちろん、歴代の活躍されてきた先輩方やこれからたくさん勝利を積み重ねてくれるであろう後輩たちには決して誇れる結果ではないが、この1勝が、私がソフトテニス部に入って少しでも成長できた証だと思う。チーム事情という外的要因も少なからずあったが、自分の意志で環境を変え、挑戦しようと思えたことは、今までどちらかというと逃げの人生を送ってきた自分から抜け出すきっかけとなった。

 このままだとただの振り返りになってしまうので、僭越ながら後輩たちに伝えたいことを書こうと思う。それは、積極的に新しいことや難しいと思うことに挑戦してほしいということである。私は前衛への転向を通して大した成果は出せなかったが、自分を少し変えることには繋がったと実感している。また、一橋大学のソフトテニス部にはその挑戦を応援し、支えてくれる方たちがたくさんいることも実感した。後輩たちにはこの恵まれた環境を存分に活かし、小さなことでもいいので挑戦をして、自分なりにやり切ったと思えるソフトテニス部での4年間を過ごしてほしい。

 

 最後になりますが、これまで多くのご支援、ご指導をしていただいたOBOGの皆様方、先輩方、同期、後輩に感謝の言葉を申し上げます。今後は私もOBの一員として、微力ながら現役部員の支援をできればと思います。今後とも宜しくお願い致します。